個人投資家だけの仮想通貨市場
最近、仮想通貨のひとつであるビットコインの話題を目にすることが多くなっています。
「ビットコインとはどういう仕組みか?」ということに関しては、適当にググったらいっぱい記事がヒットするので、省略します。
→【仮想通貨】ビットコインのブロックチェーン技術は何がスゴいの?将来性はあるの?
今回のテーマは『これまでビットコインの売買に参戦したのは個人投資家だけであり、機関投資家はほぼ皆無』だということです。
これを聞いてほーん、で?と思う方もいると思いますが、これは深淵な意味合いを持ちます。というのも機関投資家は巨大な運用資産を持っているからです。
そもそも今の日本の株式市場も個人投資家の取引シェア約20%にしか過ぎません。つまり機関投資家が世界の金融相場の大半を占めています。しかしビットコインにはまだ本格的に参入していません。
そして、その機関投資家がいよいよビットコインを買えるようになります。というのも近くビットコインのETFが認可される可能性が高まったからです。
コンサルタント会社BCGによると、2015年の時点で世界の機関投資家の運用資産は71兆ドルだそうで、これに対して8月19日現在のビットコインの時価総額は675億ドルです。
つまり、ビットコイン市場の大きさは、機関投資家の運用資産の約1000分の1に過ぎないのです。
なので、一握りの機関投資家が運用資産のほんの一部をビットコインに振り向けただけで、ものすごい買い圧力が生まれ価格が上昇します。
これまで機関投資家がビットコインに投資しなかったわけは?
なぜこれまで機関投資家は、ビットコインに投資しなかったのかというと、機関投資家は「機関投資家におカネを預ける個人や企業の期待や信頼に応えるべく、運用者が責任ある行動を取る義務」があるからです。
簡単に言うと私たち個人投資家のように「これは儲かるかんじゃね?」という思い込みからリスキーな投資対象に投資してはいけないということです。
そこでは、「顧客のおカネを預かる機関投資家が、それにふさわしい複数の金融商品や投資対象をちゃんと選んでいるか?」という点が精査されるということです。
よくアホー板で機関投資家は最強で個人投資家は機関投資家の養分だから勝てるわけがないと自分の損失を言い訳している人がいますが、これは間違いです。
機関投資家は機関投資家で常に現金はポートフォリオの〇〇%以下にしなければいけないとか色々と制約があるのです。
つまり、個人投資家みたいに「今月のトレード調子わるいわー取引やめよー」みたいなことができず、どんなに地合いが悪くても逃げられないのです。
そして、ビットコインは、いわゆる分散型通貨であり、誰か中心になる監督機関が取引を常時監視しているわけではなくマイニングという形で不特定多数の人間が取引の検証作業を行っているのです。
→ビットコインの採掘(マイニング)とハッシュレートの分かりやすい説明
機関投資家は、伝統的に「ちゃんとした取引所に上場されている金融商品に投資するのが好ましい」という価値観で動いてきたので、ビットコインのように「中心の無い」のものに投資するというのはあり得ないというかほぼ不可能だったわけです。
ですが、それを可能にする手段が登場しようとしています。それが「ETF」です。
ETFって何?
「ETF」とは、上場型投資信託を指します。それは、あたかも株式のようなノリで、ニューヨーク証券取引所などで売り買いできる投資信託です。
つまり「ニューヨーク証券取引所みたいな、ちゃんとしたところに上場されているETFなら、ツッコまれることは、無いよね?」という口実が出来るのです。
一応ビットコインのETFはウィンクルボス兄弟が申請されましたが、米国証券取引委員会(SEC)から却下されました。
却下の理由は、「それがちゃんとした取引所でついた値段に基づいていないから」です。
しかし、ここで意外な救世主が現れます。というのも、米商品先物取引委員会(CFTC)が仮想通貨のオプション取引をOKしたのです。さらに、シカゴ・オプション取引所(CBOE)がビットコイン先物を上場する予定だと発表しました。
このニュースが持つ意味合いは、米国の連邦政府によって監督されている取引所で、初めて仮想通貨の派生証券が取引されはじめることを意味します。
このニュースを受けて老舗運用会社、ヴァンエックが「ビットコイン先物に依拠したETFを申請する」と発表しました。
こちらの申請は前回のウィンクルボス兄弟の申請とは違い、連邦政府の監督下にあるCBOEでの取引値段を基準にETFを組成する意匠となっているので、連邦政府機関である米証券取引委員会は政治的にこの申請を却下しにくいだろうと言われています。
ビットコインはいくらになるのか?
今の段階ではビットコインETFの上場にどれだけの需要があるのかは予想しにくいです。
機関投資家側としても、今世間で人気の仮想通貨に関連する金融商品を作りたいのはやまやまでしょうしETFが認可されれば、一定の需要はあるでしょう。
そして、元JPモルガンのトム・リー氏は、このビットコインETFの登場による機関投資家の参戦で、「ビットコイン価格は2018年の中頃までに6000ドル(約66万円)、いまから5年後には25000ドル(250万円)になる」と主張しています。
ビットコインの相場は、これまで個人投資家によってけん引されてきました。しかし機関投資家の運用資金は、個人投資家よりも遥かに大きいです。
ビットコインETFが上場されると、機関投資家が初めて大っぴらにビットコインへ投資することができるようになります。
これまで指をくわえてみてきた大口がビットコインに参戦することで、ビットコインは一層活況を呈することが予想されます。
今のビットコインは仮想通貨法やICO規制などで揺れていますが、こういう材料を鑑みれば「長期では圧倒的に買い」だと言えます。
※投資は自己責任でお願いいたします