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【株価分析】サスティナブル成長率の分かりやすい説明

 

私たち投資家は、企業の成長が企業価値の増大に繋がっているかを、常に確認する必要があります。 確認する方法の一つとして、収益性につながる持続的な成長の水準を把握することです。持続的な成長を維持は、企業が資金を効率よく使って利益を上げているか、過度に外部から資金を借り入れしていないか、がとても重要です。

 

効率よく利益を上げているかを見る指標としてはROEがありますが、これだけでは借入するだけで数値が上がってしまうのでこの辺りが把握しづらいという問題があります。この企業の持続成長性を測る指標として近年話題となっているのが今日取り上げる「サスティナブル成長率」です。

 

「サスティナブル成長率」とは文字通り、持続可能(sustainable)な成長率のことを意味します。最近、世の中のキーワードになってきた感があります(私も最近知りました・・)が、コーポレートファイナンスの分野では、かなり前からサステイナブル成長率を定義・定量化されてきたそうです。

 

企業活動におけるサステイナブル成長率とは、銀行などの外部からの資金調達を行わずに内部投資のみで実現できる成長率を意味します。企業の成長を支えるのは,内部に再投資した資本が生み出す利益やキャッシュフローです。サステイナブル成長率は下のような数式で定義されます。

 

サスティナブル成長率=内部留保率×自己資本利益率(ROE)

 


例えば、毎期の自己資本利益率を 10% 、当期純利益のうち内部に再投資する内部留保率を 70% としたとき、毎期の投下資本は内部留保の分だけ増加します。投資家に支払われる配当の割合(配当性向)は 30% (当期純利益-内部留保率)となり、このときサステイナブル成長率は 7%(10%×70%) となります。

 

ある企業の 期首自己資本 100億円、当期純利益 50億円、配当(30%) 15億円、内部留保(70%)35億円 のとき、次期の期首自己資本は 前期自己資本 100億円 に 内部留保の35億円を加算した135億円となります。

 

そして、当期純利益は67.5億円、配当は67.5億円×30%=20.25億円、内部留保は67.5億円×70%=47.25億円、となります。

 

ちょっとわかりづらい数値になってしまいましたが、このときのサスティナブル成長率は自己資本利益率(50億÷100億=50%)×内部留保率(70%)=35% で投下自己資本、利益、配当、内部留保はすべて 35% の割合で成長していることが分かります。

 

この数値の例からも分かるように企業の成長の源泉は、内部留保からの再投資がもたらす利益であることが分かりますね。

 

DDM法・DCF法・残余利益モデルなどで企業価値評価や株式評価を行う際に用いる定率成長率には、このサステイナブル成長率を用いることが多いです。

 

 

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