2017年6月1日、リップル社(Ripple, Inc.)は「インターレジャープロトコル(InterLedger Protocol、ILP)」初のビットコインプラグインを公開しました。
これによって、ブロックチェーントランザクションを異なる決済ネットワーク上送信することができます。
ILP(インターレジャープロトコル)とは?
通常、国際送金など複数の金融機関をまたぐ形での取引を行う場合、異なる取引記録データベース(=決済ネットワーク)を経由する必要があるため、大きな時間的・費用的コストがかかります。
ですが、2015年10月にリップル社が発表した「インターレジャープロトコル(ILP)」は、複数の取引台帳を接続することで異なる決済ネットワークにまたがる取引を実現します。
具体的には、二者間の取引を仲介する「エスクロー」という機能を通じ、異なる決済ネットワーク上の資産をやり取りすることができます。
これにより、複数の金融機関やブロックチェーンにまたがる取引をリップルネットワークを介して実行できるようになるため、時間や費用をかけずに取引を行うことができます。
このリップルネットワークにおいてブリッジ通貨として発行されているXRPですが、金融機関の多くはKYCコンプライアンスなどセキュリティの問題から暗号通貨を銀行間取引に用いることに消極的です。
その一方で、銀行はブロックチェーンや広義の分散型台帳の活用には積極的であり、リップルネットワーク上のIOU(現在はIssuranceに改名)を用いた銀行間取引に向けての取り組みも進められています。
ここで注意してほしいのが、インターレジャープロトコル(ILP)自体はブロックチェーンではなくあくまで接続システムであり、既存のリップルネットワーク(XRP Ledger)とは独立して存在しています。
⇨
⇨【仮想通貨】XRP(XRP Ledger)の特徴と将来性、ILPとの関係性について
ILPがビットコインへ対応
リップル社の目玉技術であるILP(インターレジャープロトコル)は、既存の決済ネットワークを接続することを目指していましたが、2017年6月にビットコインのブロックチェーンへ接続するプラグインを公開しました。
2017年6月1日、2日にドイツのベルリンで開催されたBlockchain Expoではリップル社によるデモンストレーションが行われ、パブリックブロックチェーン、プライベートブロックチェーン、中央集権的な取引台帳、従来の決済チャネルなど7つの異なる決済ネットワークを経由する一つのトランザクションが実行されました。
これらを通じ、既存の取引チャネルとブロックチェーンの連携が実現されました。将来的には、全ての取引台帳がILPによって結びつくことになるかもしれません。
今回は公開されたビットコイン向けプラグインを用いた接続だけでなく、XRPを使用したインターレジャー取引も実行されました。
これはXRPエスクローとXRP支払いチャネルの両方を使用して行われるものです。これらの技術により、取引記録の全体をETHに両替し、それらをいったんXRPに両替したのち、それらを最終的にユーロに戻すといったことが、より小さな費用・時間で実行できるようになります。
今後もILPのプラグインは拡大
今後インターレジャープロトコルは接続可能なブロックチェーンをさらに拡大していく予定で、ZcashやビットコインとライトコインのLightning Network、PayPalなどにも対応するプラグインを構築していくとのことです。
XRPはどうなる!?
ILPというのは要するにI貨幣をネットワーク上においてIOU(借用書)にしてやり取りすることができるようにする技術です。
つまり日本円からドルに両替する際に、JPY⇔USDとするのではなく、JPY→JPYIOU→USDIOU→USDとすることによって送金コストを削減しようとしているのです。
そして、この「JPYIOU→USDIOU」の部分で活躍するのがリップル社のデジタル資産であるXRPです。
「JPYIOU→USDIOU」のところを「JPYIOU→XRP→USDIOU」とするとより送金コストが削減できるのです。
こんな感じでXRPはあらゆる通貨のILPにおいて、より低コストかつ高速で取引が行えるようにするブリッジ通貨を目指しています。
このXRPによるブリッジングの前段階がILPの普及であり、今回のビットコイン対応のILPの公開は、XRPが使われなくなるかもしれない悪い知らせではなく、リップル社が世界中の送金を制覇する足掛かりとして非常に喜ばしいニュースであり、これはブリッジ通貨としてのXRPの価値の上昇にもつながるでしょう。