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パナソニック・シャープ・東芝から見る「選択と集中」の失敗

・選択と集中とは?



「選択と集中」とは名前の通り、何か一つを選択しそれに集中することで大きな成果を上げることができるよって戦略のことです。元ネタはマイケルポーターの提唱したSP(ポジショニング戦略)を日本語で解釈したものです。



この考え方は高度経済成長がバブルがはじけたことによって終了し、それまで右肩上がりに成長を続けてきた日本経済は停滞期に突入した頃から、企業の生き残り戦略として盛んに取り上げられるようになりました。



これによって、バブルの崩壊を乗り切って順調な経営しているとされていたのが、「シャープ・パナソニック・東芝」です。



まあ皆さんもご存じの通り、現在この3社がどうなったのかいうとシャープは鴻海に身売りし、パナソニックは4年で2兆円もの赤字を叩き出し、東芝は原発事業で兆を超える赤字を叩き出し債務超過になりました。



本当に2017年現在で振り返ると、「なーにが選択と集中だよ!!」爆笑してしまうような話ですが、当時はこれが大真面目に言われていたのです。



で、本題に入りますと、なぜこの3社は選択と集中で失敗してしまったのでしょうか?




・この3社が失敗した理由



まずパナソニックを例にとると、パナソニックの「選択と集中」はプラズマテレビ事業に特化することでした。



破壊と創造をモットーとしていたパナソニック6代目社長は、創業者であり経営の神様とされた松下幸之助氏の作りあげたビジネスモデルを破壊することから始めました。



具体的には、組織の解体や従業員の大規模解雇などで会社を全く別物にしたのです。そして、創造がプラズマテレビ事業への巨額の投資です。それにより一時は膨大な利益も上げるも液晶テレビの台頭により利益は下降線をたどっていきます。



ですが、当時の経営陣はプラズマテレビを諦めきれずズルズルと赤字を垂れ流し、その総額は累計2兆円近くに及び、その穴埋めのために内部留保はすべて吐き出してしまい、更なるリストラを行うことになりました。



本当にプラズマテレビに拘るなんて、だれが見ても分かる自殺行為なのですが、やはり株と一緒で損失が当事者にとって巨額になりすぎると、損切りという決断に至れないんでしょうね。所詮大企業でも動かしているのは人間なわけですし・・・



続いてはシャープを例に挙げてみます。



シャープにとっての「選択と集中」は液晶テレビ事業に特化することでした。まだブラウン管テレビが主流だった当時、液晶テレビに特化することに社内の大半は否定的だったそうです。



それでも当時の社長である町田氏は臆することなく液晶テレビに全リソースを注ぎ、発売された液晶テレビ「アクオス」は瞬く間に国内シェアナンバー1の座に輝きました。



ですがこの栄光は長くは続きませんでした。当時は液晶テレビが大きな差別化となっていましたが、サムスンなどの外国企業の技術力向上による液晶価格の下落し、液晶事業は亀山工場など巨額の設備投資を行っていたことから巨額の赤字になってしまったのです。その結果シャープの経営は破たんし、台湾企業である鴻海に買収されてしまったのです。



当時、知り合いのシャープの社員が「亀山工場がコケればシャープは倒産する」と言っていましたが、私は冗談だと一笑に付しました。今思えば当事者たちには、何かしらいやな予感があったのかもなぁと思います。



最後は東芝ですが、東芝の「選択と集中」は原発事業と半導体事業に注力することにありました。西田厚聰社長(現会長)は、2006年、米原子力プラント大手・ウェスチングハウス社(WH)の買収を決定しました。



当初はWH社と古くから取引関係がある三菱重工業が本命でしたが、東芝は、予定額をはるかに超える6200億円の買収価格を提示し、買収に成功しました。



そして東芝は、半導体と原子力発電を経営の二本柱に掲げ、両事業に経営資源を集中する一方、音楽事業の東芝EMIや銀座東芝ビルを売却。第三世代の光ディスクHD DVD事業から撤退しました。



東芝は元から圧倒的にナンバーワンといえる分野はなかったのですが「選択と集中」を行なった結果、一時は半導体は国内首位で世界3位(いずれも当時)、原発は世界首位に躍り出て、当時赤字整理していたSonyなどとは対照的にテレビでも持て囃されました。



しかし、現在は買収したアメリカの原発会社のウェスチングハウスが経営破たんによる、その数千億の負債を肩代わりしなければならないことにより経営の危機に陥っています。



東芝に関しては、そもそも粉飾していたのでもしかしたら最初から成功していなかったのかもしれません。


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これが選択と集中に失敗した例です。



「選択と集中」はシンプルな理屈であるため、誰でもすぐに実践しようとしますが使い方を間違えるとこのように大失敗します。というのも「選択と集中」には大きく2つのリスクがあるのです。



1つは、当たり外れが大きいです。特定分野に特化するということは、外部環境の変化に大きく左右されるということも意味します。株式投資でも一つの銘柄に資金を集中すれば上がったときは利益が大きいですが下がれば大損になるのと同じです。



2つ目は短期型で長期的な視野に立った経営には向いていないという点です。要するに儲かっている事業だけやって、儲からない事業は切り捨てるわけだから、数年の業績で見れば業績は向上するでしょう。



しかし、特定の事業だけで長期的に成長を維持するのは至難の業です。なので将来儲かるかもしれない新規事業の芽を摘みとり、成長性を切り捨てたその場しのぎの施策になってしまいがちなのです。



対照的に、サムスンやソフトバンクやAmazonやアップルといった2017年現在時価総額ランキング上位を占め、安定して成長している企業はやはり様々な分野に投資を行っています。



「選択と集中」は経営の立て直しにあたって頻出する魔法の言葉ですが、要するに一点張りのギャンブルなのであり、何を選択・集中するのかを真剣に考え、時世とともに柔軟な意思決定を行うことが必要となります。



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