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【ミクロ経済学】市場の失敗とは?

 

 

「市場」とは?

 

まず「市場の失敗」の「市場」とは何なのかというと、かの有名なアダム=スミスが「神の見えざる手」と例えたように、需要と供給のバランスを効率的に調整し、資源の最適分配を行うシステムだと考えられています。

 

とはいっても、この効率的な市場メカニズムは、「完全競争市場」という架空の市場においてでしか成立しません。

※「完全競争市場」とは? 

市場に小規模かつ多数の参加者がいること(無限の取引主体)

提供される財やサービスが同じものであること(財の同質性)

財やサービスに関する全ての情報を、全ての市場参加者が持っている(情報の対称性)

市場への参入や退出が容易であること

 

まあ実際には、上記の条件すべてを持つ市場は普通に考えて存在しません。なので効率的な資源配分には限界が出てきます。

 

 

 

 「市場の失敗」とは?

 

上で述べたように、市場メカニズムによって資源の最適配分が行われるためには、「完全競争」「外部性がない」「完全情報」などの前提が必要なのですが

 

現実では市場において競争の状態や財とサービスの特性などによって、これらの前提が成立せず、市場メカニズムが上手く作用せず資源の最適配分が行われないという事態が発生します。

 

そういった問題をまとめて「市場の失敗」と言います。

 

 

 

「市場の失敗」の種類

 

「 市場の失敗」には大きく3種類あります。

 

 

「競争の不完全性」

ある企業が圧倒的なシェアで市場を支配することで、企業同士の競争が弱くなり、最適競争による価格設定がなくなってしまうことです。これはいわゆる「独占」や「寡占」というもので、具体例としてはビール業界が挙げられます。

 

 

「外部経済と外部不経済」

経済活動の費用や便益が取引当事者以外に及ぶことを「外部性」と言います。「外部経済」とは、プラスの外部性、すなわち、取引当事者以外に便益が及ぶ場合を指します。反対に「外部不経済」とは、公害やたばこの煙などのような当事者以外が不利益を被るもののことを指します。

 

 

「公共財」

医療や教育などは、市場に任せると所得の低い人がサービスを受けられなくなる可能性があります。森林や河川などは、市場に任せると自然それ自体が破壊される可能性がある。なので、何事も市場に任せることが必ずしも正解とは限らない場合があります。このような財やサービスを「公共財」と言い、「公共財」は市場と別の仕組みで管理や運営がされる必要があります。

 

 

 「情報の非対称性」

 情報の非対称性とは、要するに売り手と買い手が持っている情報の差のことを指します。まあ企業が自社の製品の情報を、消費者よりも持ってのは自分のところで作ったものなので当然ですし、企業と消費者の間で製品に関する情報の格差が出てくるのはしょうがないです。といっても大きな「情報の非対称性」がある場合、企業によって大切な情報が隠されてたりしてしまうことにより、消費者は自分の求めたものを必ず手に入れられるわけではなくなってしまい、その結果、誰も商品を買わなくなり、市場が立ち行かなくなってしまう可能性があります。

 

 

 

「市場の失敗」の対策

 

市場の失敗は、現代社会であれば簡単に起こりうる可能性があり、そのような場合は、政府の積極的な介入が必要だと言われています。

 

「独占・寡占」への対策には、独占禁止法などがあります。「外部不経済」には、公害対策基本法や環境保全政策がなされています。「公共財」の不足には、政府自身にって財の供給を増やします。「 情報の非対称性」に関しては、開示命令など買う手と売り手の情報格差を縮める措置を取ります。

 

 

まとめ

 

現実の市場は全く万能ではなく、それのよっておこる問題には政府による介入が重要になってきます。 しかし、行き過ぎた政府の介入は望ましいものではありません。大切なのは、その時々の経済や社会の状況を考慮して、バランスのとれた政策を行うことです。

 

 

 

追記:ミクロ経済学を勉強するにあたってこのミクロ経済学入門の入門いう本が分かりやすかったので紹介しておきます。

 

 

 

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