次に時系列データのモデル化について見ていきます。時系列分析においては時系列データを定式化するためのさまざまなモデルが提案されていて、1つの変量を分析するための回帰分析のようなモデルだけでも、
・AR :自己回帰モデル
・MA: 移動平均モデル
・ARMA: 自己回帰移動平均モデル
・ARIMA :自己回帰和分移動平均モデル
・GARCH: 一般化分散自己回帰モデル
・VAR:ベクトル自己回帰モデル
といったように多くのモデルが存在しています。各モデルのざっくりした説明は以下のようになります。
・自己相関係数(ACF)
自己相関係数は、過去の値とどれくらい似ているか(関連しているか)を表したものです。たとえば、一日前と大きな正の自己相関があれば、1日前に多ければ、今日も多いということになり、2日前と負の自己相関があれば2日前に多ければ、 今日は少ないということになります。
・ARモデル(自己回帰モデル)
名前の通り自分のデータと回帰する(自己回帰)手法。つまり、一日前の値を横軸に、一日後のデータを縦軸にしてプロットし、線を引っ張ると言うイメージです。一番簡単な時系列モデルで時系列分析の基本形とされています。
・MAモデル(移動平均モデル)
こちらは、単純に前日の1日だけの数値と比較するのではなく、今日とその前の直近〇日間と比較分析するモデルです。
・ARMAモデル
自己回帰モデル(ARモデル)と移動平均モデル(MAモデル)を組み合わせたモデルです。
・ARIMA :自己回帰和分移動平均モデル
時系列データの差分を取ってからARMAを適用したモデルです。
・GARCH: 一般化分散自己回帰モデル
確率的ボラティリティモデル(SVモデル)の派生系で、ボラティリティ変動の持続性を考慮したARCH モデルの過去の収益率の予期できないショックの2 乗の部分に、過去のボラティリティを加えたモデル。
・VAR:ベクトル自己回帰モデル
ARモデルを多変量に拡張したもの。ARモデルが回帰分析ならVARモデルは重回帰分析みたいなものです。
各モデルのRでの計算はリンク先でやっており、詳しい理屈はそっちに書いてあります。なので、この記事は時系列データ分析のモデルの名称とざっくりとした仕組みを書いています。
追記:時系列分析については、現場ですぐ使える時系列データ分析という本がとても分かりやすかったので紹介しておきます。